若手医師と商社マンが最強を目指すブログ

平成生まれの帰国子女である3年目医師と4年目総合商社マンがそれぞれの最強への道を虎視眈々と狙う

年収1000万超え 総合商社は何をしているのか

総合商社の年収
東洋経済の記事(2015年10月9日付)で日系企業の平均年収の掲載があった。
下記に総合商社だけ抜粋する。
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五大商社で言えば、平均1,300万円以上あることがお分かりだろう。 
2015年度の全年齢平均年収が440万円で考えると、破格である。

常人の3倍を一人で稼ぐ、商社マンとは一体何者なのか。
どんな仕事で、従業員は何をして報酬を得ているのか。
今回はそんな、謎多き総合商社の仕事の話をしたい。
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総合商社のコア、トレーディングと事業投資
総合商社の仕事は「トレーディング」と「事業投資」が二本柱と言われる。

トレーディングとは、商社の伝統的な仕事で、世界各国間のモノの取引を行うことである。例えば、米国で調達したジャガイモを日本に運んで食品事業者に卸す、自動車の原材料となる鉄板を中国の工場から調達して日本の自動車メーカー(トヨタやホンダ等)に卸す、等がこの業態である。物資の国境を超えた貿易は、かなり専門的かつ手間のかかるプロセスだ。それをメーカーに変わって代理し、発生する手数料を獲得するのが、トレーディングのビジネスモデルである。

一方、投資事業とは、ある企業や資産に(商社が)投資をして、その事業を発展させ、そこから収益を生み出すことを目指す。価値を高くなった時に売却し、その差額(売却益)を得るのである。非公開企業を対象とした、ヘッジファンドやPEファンドだとイメージしてもらえれば良い。ケーブルテレビの契約先としてJ:COMというのを聞いたことがあるだろう。あれは住友商事外資系メディア企業と立ち上げたものだ。


総合商社の投資ファンド
トレーディングを主事業としていた5−10年前、商社の純利益は数百億円規模であった。そして近年、各社商社は事業投資を加速させ、現在の商社の純利益は数千億円規模と、以前の約10倍まで急増した。今では純粋なトレーディングによる入りは微々たるものである。

商社の投資事業の対象も変わりつつある。以前はトレーディングを効率的に行うことを目的とした、生産する企業や資産に対する投資が主流であった。しかし現在では、純粋に配当収益とキャピタル・ゲイン(株式などの資産売却益)による利益獲得を狙う案件も増えてきている。総合商社の投資ファンド化が進んだと言われる所以である。

投資ファンドということは、その会社にあるのは「ヒト」「カネ」だけである。ベンチャーキャピタルでもPEファンドでも無い総合商社は、今後新たな投資ファンドとしてどのように生きていけば良いのか。それが現在の総合商社の大きな課題となっている。


現在の総合商社の苦戦の理由
「世界の鉱山開発を行ってきた実績が有り、フリーキャッシュフローは年間〇〇億円」
「世界各国の事業展開を行って日本きってのグローバル企業」

世界のベンチャーキャピタルやPEファンドの相手になるような優良ベンチャー企業に、斯様な文句は通用しない。

米国の先進的なベンチャー企業は資金調達をする際に、Tier 1, Tier 2, Tier 3... と、トップレベルのベンチャーキャピタルから声をかけて行って、ダメだったらその下のレベル、ダメだったらその下のレベル・・・というような形で行っている。悲しいかな、その中で我らが総合商社に声がかかるのは一番最後だ。「どこもダメだったからこいつらにでも声をかけるか」というような態度であり、そ落ちてくるのは、犬も食わないようなクソ案件だけである。そんなことでは、当然損をするばかり。某1番手、2番手商社のような減損地獄を味わうことになってしまう。

今の総合商社は、新規案件を探すことよりも、長い歴史で築いてきた、過去の遺物にしがみついているのが現状なのだ。既存のビジネスをまわす為だけに働くスタイルに固まってしまっているのは、何とも情けない。

各社とも資源に代わる新たなビジネスを発掘できていないのだ。


解決策:本来の原点へ回帰せよ
今後の総合商社は、落ちてくる案件に張るのではなく、自ら良い案件を探す必要があると筆者は考える。外から声がかかるのがクソ案件しか無いとしても、自分たちで良い案件を自発的に探すことは出来るはずだ。

良いベンチャー企業を探すにしても、自分達でサービスを使ってみる・調べてみるといった、主体的なスタンスでそのポテンシャルを評価することは可能だろう。うまくいけば、既存の事業運営で汲みとってきた、日本やその他の国での潜在的なニーズにマッチしたサービスを、見つけることも出来るのでは無いか。
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元々、総合商社はこれを世界に向けてやっていた。

油や鉄鉱石等の資源がどこに埋まっているのか、日本がそれまでに見たことの無いものがどこにあるのか。あらゆるビジネスチャンスを国境を超えて探していたのが、商社だった。

かつて商社は、日本政府が入るより前に、他国に足を伸ばしていた。「新しい国に行くなら商社に声をかけろ」とまで日本政府に言わしめていたのだ。これは過去の先人商社マンたちが、体を張って「新領域」を見つけてきてくれからに他ならない。

総合商社は、日本特有の形態とされ、海外においても「Sogo Shosha」と呼ばれる。
そして、これが本来の姿なのだ、我々商社マンの。