若手医師と商社マンが最強を目指すブログ

平成生まれの帰国子女である3年目医師と4年目総合商社マンがそれぞれの最強への道を虎視眈々と狙う

TOEICが英語評価として幅を利かせている本当の理由

「英語の勉強をしよう!」と思い立った時、皆さんは何を思い浮かべるだろうか。

英語の試験を考えた時、日本で一番浸透しているのはTOEICであることに異論の余地はないだろう。TOEIC 国際コミュニケーション英語能力テストTest of English for International Communication)、が日本の社会人英語能力の評価として幅を利かせているのは周知のことであり、実際に多くの読者もTOIECの為に勉強していることだろう。

今回はそのことに関して考察したい。
11112
TOEICの歴史は1977年、アメリカのテスト開発機関であるEducational Testing Service (ETS、TOEFLも作っている) に日本が開発を依頼した時まで遡る。1979日本経団連通商産業省の要請に応えて開発された。つまり「日本人が日本人のために作ってもらった英語能力試験」なのだ。

受験者数は2000年に100万を突破、
2013年度の受験者数236万人であり、今も日本人の英語能力評価試験の中心に存在している。大学センター試験の受験者数が56万人と聞けば、その規模がわかるだろう。

しかし、TOEICには大きな特徴がある。
世界70カ国で受験されているそうだが、そのほとんどが日本人と韓国人なのである。そして、
本気で留学や外資への就職を志して募集要項に目を通してみるとすぐに分かることなのだが、海外の英語能力評価試験はTOEFLやIELTSであり、TOEIC(あと英検)はどこにも登場しない

欧米諸国ではTOEICは全く評価されていないのだ。

では、なぜこんな資格として使えない試験が日本での社会人英語能力試験の主流であり続けるのだろうか。 ここに思いを馳せると、日本人の英語能力の悲しい現実が浮かび上がってくる。



まず、「評価試験の目的」を考えてみて欲しい。その目的は英語ができない人には低い点数を与え、英語ができる人には高い点数を与え、順位付けをするという、いわば当たり前のことだ。

例えば、小学生の頃の学校の試験を思い返してみると、算数の試験などは、皆100点近い点数を取り、できの悪い人でも60点ぐらいはあっただろう。(筆者は算数の試験で70点を取り、悲しくて泣いた記憶がある)。そう、一般的な小学生はそのまま地域の公立中学校へ進学するので、学力で序列を作る必要が無いのだ。

しかし、その後は違う。大学受験のため、中学〜高校では学力による順位付けを行う必要が出てくる。そのためテストの平均点は60点台に設定されるのだ。皆が100点を取ってしまったら試験の意味がなくなってしまう。
 svg
TOEICの満点は990点だが、平均点は毎回590点ぐらいに落ち着いているようだ。そう、点数だけ見れば、TOEICによって、多くの日本人の英語力は「正しく評価できている」のである。

以下に諸外国のTOEIC点数の表を貼り付けておく。
カナダは母国語が英語なので高いのは当然だし、ヨーロッパは英語が浸透しているのでやはり高い。しかし、日本が韓国や台湾にも負けているのはどういうことだろう。 
screenshot
(TOIEC report on test takers worldwide 2013より抜粋)

ところで、みなさんご存知だと思うが、TOEIC平均点の人が勉強して900点ぐらいになっても、仕事ではまったく使い物にならない。逆に、普段から英語で仕事をしている人であれば、TOIEC用の対策などしなくても、簡単に満点近い点数を叩き出す。

要するに、TOEICが悪いわけではなくて、「TOEICレベルの試験で順位付けられてしまう日本人の平均的な英語力」が問題なのだ。逆に一般ピープル向けの英語力評価としてTOEFLなどのガチな試験を受けさせてしまうと、全員10点とかになってしまって、わかりやすい分布を描けなくなってしまうだろう。



この手の試験は、「普段からの英語トレーニングの成果を見る場」であるのはもちろんなのだが、多くの受験者が、TOEIC自体の点数を上げることに躍起になっている。それ自体は悪いことではないのだが、TOEICが日本と韓国でしか評価されない、極めて偏った評価尺度であることは肝に銘じていた方が多い。

仕事や留学で必要なのは、TOEICではなくTOEFLである。そして本物の国際人を志す社会人たちが、その壁の厚さに辟易している。TOEFL対策の塾の学費は年間100万程度と、その価値の大きさがわかる。100万円を出しても点数が欲しいのだ。



TOEICで900点ぐらい取ったあなた。
あなたはまだ英語地獄の入口に立っただけ・・・。