若手医師と商社マンが最強を目指すブログ

平成生まれの帰国子女である3年目医師と4年目総合商社マンがそれぞれの最強への道を虎視眈々と狙う

名著「人を動かす」に学ぶ、チーム医療を実現する部下との接し方

みなさんこんにちはTatsuyaです。

 

僕は現在3年目の医師である。

僕は普段から「できるやつオーラ」を出しているので、同期の相談に乗る機会が多い。

3年目になった我が同期から受ける相談で一番多いのは、部下との接し方の悩みである。

正確に言うならば、「部下が使えないという愚痴」である。

 

3年目にもなると、マネージメントや教育もある程度行う必要が出てくる。

部下2−3人を抱えて、自分が中心となって患者の管理を行うようになる。

言われたことをこなしていればよかった初期研修医とは違い、

自分が中心となってチームを率いる必要が出てくる。

 

僕は、学生中に部長をやったり、勉強会を運営したりしていたので、

元から部下や後輩と接するのは好きである。

なので、そういったことを苦労と感じたことがなかった。

そのようなマネージメント力が、他人にあえて誇るようなものではないと思っていた。

 

しかし、世の中的にはどうもそうではないらしい。

今回は、僕が普段意識していることと、これまで経験した事を合わせて論じてみたい。

 

まずはBIBLEの紹介 

Dale Carnegie:How to Win Friends and Influence People (英語版、なんと99円!)

デール カーネギー:人を動かす(日本語版)

 

自己啓発本の祖、カーネギーさんの本である。

 

他人にどうやって影響を与えるかというようなことが、

豊富な当時の実例を元に、極めてわかりやすい英語で書かれている。

書かれたのは何と1937年

その内容は普遍的で、今日でも全く色褪せない。 

内容をものすごーく簡単にまとめる

1. 人は「自分が正しい」と思っているので、批判や頭ごなしの修正では、行動を変えてくれない

2. なので、まずは褒めろ

3. 他人を修正するときは、遠回しに行い、質問などで本人が自ら気づくように仕向ける

 その際、まずは自分のミスについて語るべし

4.変わったらクソ褒めろ

 さらに、部下について、他人に自慢しろ。

 

というような内容である。

基本的には他人の行動に肯定的な態度を貫き、自発性を引き出す事を目指すのだ。

この本を一読すれば、下の内容が、ほとんどこの本の内容の焼き直しであることがわかるだろう。

余談だが、”win friends”は「友達に勝利する」と言う意味ではなくて、

「友達を作る、友情を獲得する」と言う意味らしい。

 

総論:部下とのコミュニケーションを考える

1. 部下が「使えない」ことを前提として考えよ

よく3年目になった医者から聞くのが、「初期研修医がマジ使えねぇ」と言うdisである。

医者のピラミッドを作ると、当然一番下は初期研修医である。

 

初期研修医は学生を卒業したばかりの文字通り新米で、ほとんど何もできない。

お願いしたことをこなすことすら満足にできない。点滴や採血といった手技も下手だ。

 

「本当にあいつ動かないんだよね」「あいつらやる気なさすぎ」。

自分の昔を棚に上げて、部下をバカにしている医者は案外多い。

 

しかし初期研修医が「使えない」のは当然である。

最初から一人前であれば、そもそも研修なんてしなくて良いのだ。

 

 期待するから、腹がたつ。

「医師免許を持っている普通の人間」以上の期待を抱いてはいけない。

 

2. 部下は自分の敵ではなく、味方であり、育てるべき対象であると考えよ

よくあるのが自分の部下と敵対しているケースだ。

チームの一員、と言う意識が希薄なのだ。

 

目標はチーム全員の能力を有効活用し、患者への最大の医療を届けること。

こういった理念やファンダメンタルズは、軽視されていることが多いが、重要である。

 

迷った時は、いつもこの基本に立ち返ろう。 

 

3.基本的には褒めまくり、自主性を引き出す努力せよ

1.2を自分のマインドセットとする。

そうして日常業務においては、「褒めて伸ばす」基本戦略とする。

 

意識障害の患者にいきなりMRIを施行しようとしている研修医がいたら、

「何で最初にMRIなんだ!先に除外するべき疾患があるだろボケナス!」と思うだろうが、

「そうだね、確かにMRIでわかる疾患も多いよね。

 でもまずは、基本的なところから調べて行こうか」と優しく諭すことが重要だ。

 

一番良くないのが、後輩のアセスメントを頭から否定し、ディスるだけの指導である。

これでは研修医は萎縮し、自分の頭で考える事を疎かにしてしまう。

 

基本的には一回受容し、遠回しに正解ルートへ連れて行く戦略が良い。

 

各論:キャラ別ワンポイント講座

とは言っても、扱いにくい部下、と言うのは確かにいる。

ここでは各論的に考察を深めて行く

1.「女医」

これは一緒に働く上で、避けて通れない存在である。

全員がそうだとは言わないが、

女医は基本的に気分屋で、感情的であり、プライドも高く、拗らせやすい。

 

まず女医さんは「自分の敵/味方」の線引きを、ものすごくクリアに行う存在である。

絶対に、自分を敵サイドに組み込ませてはならない。

 

そのためには、ひたすら女医さんに肯定的なスタンスでいる必要がある。

直接的な批判や叱責はご法度であり、修正もどうしても避けられない場合をのぞいて、行わない。

 

修正するにしても相手の顔色を伺いながら、ものすごく遠回しにやろう。 

間違っても、頑丈な元ラグビー部の部下相手の時のように

てめえちゃんと検査結果確認してから帰れや(゚Д゚)ゴルァ!

オーダーだけ出して結果見ないとか医者なめとんのかあ!?

みたいなノリで女医さんに接してはいけない。

 

あと、女医さんは、男医者の仕事以外での行い特に恋愛)も、

その人の「仕事上の評価」の対象に組み込む性質があるので注意が必要である。

あなたにセフレが5人いようが、必ず、

「彼女を大事にしている非モテコミット気味の人」「頼れるお兄ちゃん」「イケメン」

のどれかに分類されるように心がけよう。

 

意外なところで足元をすくわれないよう注意だ。

 

2.「自分より年上で、かつプライドが高い」

プライドが高い年上の人と接し方は、女医さんとの接し方に似通った点がある。

 

そう、一番重要なのは、その人のメンツを尊重すること。

自尊心を満足させるように誘導していく事を心がけよう。

 

3.「モチベーションが0な人」

これも難しい。

修正しようにも、向こう側からの自発的な行動や発言がないので、取りつく島がない。

こう言った人に「やる気出せよ!」と言ってやる気を出すことがないことは、

ここまで記事を読んでくれてきた読者なら自明であろう。

 

自主性を重んじることが基本であることに変わりはないが、仕事の線引きは重要だ。

ここからここまでは、君の仕事。だからここまでは必ずやりなさい

と境界線をはっきりさせるのだ。

 

そうして、ある程度仕事をやってくれるようになれば、それを取っ掛かりとし、

いつも通りの「褒め」による介入を行う。

あとは一緒である。

 

おまけ:飲みニケーションやオフタイムの付き合い方

これは僕自身の性格も多分に関係するが、基本的にはほぼ無しで構わないだろう。

チーム結成時と解散時に、飲み会を行うことはあるが、それ以外には推奨しない。

 

僕は、人間的に個人的に仲良くなりたい場合にのみ、仕事外の付き合いを設定している。

 

結語:部下を育てる根元的なモチベーションは何なのだろう

このように、部下を育てる事、チームを円滑に回す事、には多分な労力が必要となる。

気遣いもしなきゃいけないし、頑張っても部下が全く成長しないこともあるだろう。

 

使えない部下を介在させて仕事をしていると、

まるで繊細な和食を、大きなマジックハンドを使って食べているような気分に陥る。

 

それでも僕は、部下や後輩と接することが好きだ。

なぜなら、成長した部下は「チーム達也の一員」だと考えているからである。

 

僕から受けた影響で、他人が変わり、世の中に影響を与える。

その可能性を考えたら、ワクワクしないだろうか。

 

この記事により、円滑なチーム医療が発展する一助になれば、望外の喜びである。