これから初期臨床研修医になる君たちへ
こんにちは達也です。
去る10月20日、初期臨床研修のマッチング結果が発表されました。
日本マッチング協会の発表にあるように、ほとんどの人が第一希望でマッチしたようですね。
(医師臨床研修マッチング協議会 平成28年度)
初期臨床研修とは、医学生が大学を卒業した後に課せられる、2年間のトレーニングです。
記念すべき、お医者さんとしてのファーストキャリアとなります。
医学部6年生の皆さんは、2月に控えている医師国家試験の追い込み中でしょうが、
僭越ながら、私達也から皆さんに伝えたいことがあります。
まず最初に理解しておく必要があるのは、
あなた方はカスであるということです。
そう、カスです。
病院という摩訶不思議の空間。
そのヒエラルキーで、君たちは最下層に組み込まれます。
カースト制度で言うところの「人間扱いされない人々」です。
なぜなら、君たちには、知識も経験も、何一つ持ち合わせていないからです。
君たちが持っているのは、国家試験で詰め込んだ使えない知識と、
6年間の学生生活で肥大させた自尊心、
そして医者になったらモテるんじゃないかと言う淡い期待、だけです。
また、どんなにすごい1年目でも、絶対2年目には勝てません。
君が学生時代、MECの模試の順位が学年でトップであろうが、
どれだけイヤーノート(医師国家試験の参考書。辞書ぐらいの厚み)を暗記しようが、
学外の勉強会に出席していようが、
「やっぱりヒストリー&フィジカルだろ」と頭の悪い女の子に自慢気に語ろうが、
そんなことは全く臨床能力と関係ありません。
臨床の現場での生きた知識と、参考書の座学での知識には、それぐらいの差があるのです。
そして君たちにできる事はただ一つ。
それは、奴隷になる事です。
言い換えれば、言われたことを、ひたすらこなす能力です。
俺が患者を治すぜ!なんて妄想はさっさと諦めて、奴隷モードに切り換えた方がよほど生産的です。
優秀な社畜(病畜)になるために、非常に参考になる本があります。
この本の、3つの理念を心に刻んでおいてください。
それは、以下です。(これ以外は大したことが書いてないので、買わなくて良い)
- 絶対に遅刻は厳禁
- 言われた事は絶対やれ
- つまらない仕事などない
初期研修医になったあなたは、もう学生ではありません。
初期研修医と医学部6年生の一番大きな違い、それは責任です。
あなた方は社会人です。遅刻をしてしまったら一発アウトです。
10分前集合を常に心がけましょう。
そして奴隷となった君たちには、様々な「仕事」が舞い込んで来ます。
上司の医者からの指示だったり、
薬剤師さんからのオーダーの確認電話だったり、
熟練看護師からの重要な患者に関する報告だったり、
アホでビッチな新人ナースから夜中の2時に来た、全く緊急性のないコールかもしれません。
そして、どんな時も、あなた方の返事はただ一つです。
サー、イエッサー!
「この指示を、医者である自分がやることに意味があるのか」
「このやり方では非効率的ではないか」
「そもそもこの治療方針であっているのか」───。
そんなクズのような疑念は、今すぐゴミ箱に捨ててください。
全く経験のない君たちが一番に獲得を目指すべきもの、それは信頼です。
しょぼい要件もしっかりとこなせない君たちに、もっとハイレベルな依頼が来るでしょうか。
来るわけがありません。
少なくとも1−2年は、君たちは奴隷です。
君たちにもう一つできること、それは勉強です。
よく知られているように、医師国家試験の勉強は、現場ではほとんど役に立ちません。
まるで、TOEIC900点の高校英語教師が、アメリカ人の前でモゴモゴしてるかのごとく、です。
これは、医学書をたくさん読めとか、問題集を解けとか、そんな話ではありません
臨床では、臨床での学びがあります。
よく、ベッドサイドラーニングとか、症例で学ぶ、なんて言われます。
これは正しいのですが、誤解も生んでいます。
診療にただ携わっただけでは、記憶はあっという間に通り過ぎます。
本当です。
担当した症例一つ一つに関して、病態・症状・対応をしっかりと押さえる事。
それを行なって初めて、君たちの「経験」が「血肉」となります。
ただ見てるだけでは、何も身につきません。
とりあえず、奴隷業の傍で、自分の担当患者の把握に命を捧げましょう。
エクストラの勉強を行うのは、その後でも遅くはありません。
さて、ここまで、厳しいことを言って来ました。
それでも、絶対に失って欲しくないものがあります。
それは、どんなにゴミ扱いされようが、夢を失わないことです。
腐らないようにすることです。
最終ゴールが、「立派なお医者さんになること」であることだけは、
どんな時も忘れてはいけません。
厳しくも楽しい、お医者さんワールドに旅立つ君たちの門出。
僕は高らかに銅鑼を鳴らそう。