若手医師と商社マンが最強を目指すブログ

平成生まれの帰国子女である3年目医師と4年目総合商社マンがそれぞれの最強への道を虎視眈々と狙う

一人焼肉がもたらす寂寥に耐える意味などない

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焼肉は好きだが、高い。僕は肉をたくさん食べるし、ビールも何杯も飲んでしまうので、正確には「高くついてしまう」というべきだろうか。とは言っても、外食で安く焼肉を食べようとすると、脂身ばかりの薄いクソ肉ばかり出てくる。これでは興が乗らない。27歳の僕は、ヤングカルビでは満足できなくなってしまったのだ。

となると、外食を諦め、自炊するという発想になる。しかしそれも上手くいかない。家で焼肉用の肉をフライパンで焼いた事がある人らわかるだろうが、フライパンというのは肉汁や脂肪が落ちる場所がないので、焼かれた肉達はギトギトして水っぽくなってしまう。ホットプレート焼き肉でも同様の問題が起きるが、これが焼肉屋と自宅焼き肉のクオリティに、決定的な差をもたらしている。

イワタニ カセットフー カセットグリル

解決策はある。それがこの商品、イワタニ カセットフー カセットグリルである。これは火の範囲が広いガスコンロの上に、厚みのある鋳造グリルをのっけただけの代物である。このシンプリシティにこそ、このグリルとエセ焼肉グリルとの間に存在する差の秘密がある。

まずは火力。焼肉ではやはり電熱ではダメで、しっかりと炎で肉に火を入れる必要がある。次に鉄でできた無骨なグリル。蓄熱は抜群で、また網目の幅がちょうどよく、いい感じに焼き目がつく。構造上、煙を少なくする工夫は一切なく、焼肉屋よろしくモクモクと煙がでる。その辺が潔くて良い。 

この商品に関して、アマゾンレビューで低レビューをつけている人がいる。曰く「重い(鋳造グリルだから当然)」「焦げる(テフロン加工しか使えない現代っ子)」「煙い(焼肉屋を再現する商品だから当然)」と言ったものばかり。これはスポーツカーを買って、「荷物が乗らない」とか「燃費が悪い」とか文句を言っているのと同じだ。

ちなみにこのイワタニという会社は、反射板の工夫で遠赤外線を作りだした名器「炙屋」、強力なガス火と厚みのある鉄板でプロの味を再現するたこ焼き機「炎タコ」、と言ったマニアック商品を多数リリースしている。僕も炎たこは愛用しているが、タコパなどと称される場所で出されるタコ入りパンケーキとは別次元の、本物のたこ焼きが作れる。
 
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それでは自宅焼肉を催そう。
焼き肉はタン、カルビ、鳥か豚を最低用意する。種類をある程度用意することが、焼肉屋っぽさを上げるコツだ。カルビはでかい牛バラブロックを買ってきて、自分で適当な大きさに包丁で切り、もみだれに浸しておこう。このひと手間が重要である。あとは白米、キムチ、ナムル、韓国のり、よく冷えたビールがあれば、とりあえずは十分だ。

まずはタンを焼く。十分に熱せられたグリルは、あっと言う前に薄いタンを焼き上げる。すぐに肉の上に肉汁が浮かんでくる。そこに塩胡椒を軽く。ひっくり返したら、早めに取り上げ、メディアムレアに。レモン汁をかけ、熱々のうちにいただく。香ばしい香りに肉汁、それをレモン汁の酸味がサッパリと洗い流す。まさに至福、涙がでる。

その次はカルビ。豪快に3枚ほど一気に乗せる。タレがかかっているので焦げやすいから気をつけろ。強い火力は容赦などしないんだ。焼きすぎてしまうは、牛さんに無礼。頃合いを見て取り出す。つけだれはさっぱりとおろしポン酢。口の中に放り、咀嚼する。すかさず白米をかきこむ。思わず快哉を叫ぶ。ビールはもちろん、プレミアムモルツ一択である。

口の中が油っぽくなってきたときこそ、サイドメニューの出番である。ナムルとキムチ。焼き肉の本場大韓民国で作られた至宝。長い歴史を誇るだけあり、焼肉との相性は言わずもがな。落ち着いたところで、また肉に突撃するのだ。


肉VS俺。誰にも邪魔されない本物の対話。

ふと気づく。君は一人だ。誰にもこの感動や喜びをシェアする相手がいない。一人で焼肉をして、自分だけで喜んで。そんなことに何の意味があるのだろう。こうしている瞬間も君は死に向かって1秒1秒歩み続けている。誰も時の流れを止めることはできない。

残るものといえば、焼肉と煙の臭いがこびりついた散らかったリビングルームだけ。たった一人、椅子に座ってアルコールが回った頭を抱える。聞こえる音といえば、「強」に設定した換気扇だけだ。人は皆、孤独。村上春樹も言うように、この地球という惑星は人々の寂寥を滋養として回転しているのか?

そんな時、僕はアマゾンプライムに最近追加された、ガンダム00をつける。武力による戦争根絶という矛盾した夢、人々の対話の儚さ、すれ違いによる悲劇。それでも、ガンダムマイスターたちは希望を捨てない。正義とは何か。彼らは、牙無き人達のため、戦い続ける。


本当の自分の姿は、とてもちっぽけ。
いつか見つかるだろうか?俺を真実へと導く道標が。
 
今日も、どこかで誰かが肉を焼いている。